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三橋順子先生ブログ

パラダイムの大転換には理由がある

ブログ名:三橋順子先生ブログ

3月30日(金)

医療というものは、その理念からして「患者に良かれ」と思ってやっている。
まして、現場の医療者は、ほとんどの方が善意の人だ。

でも、医療が患者さんにとっていつも「善いこと」をしてきたかと言えば、そうではない。
医療の名の下に患者の人権を侵害して、苦しめた事例はいくつもある。

たとえば、ハンセン病患者の強制隔離・断種などは、その典型だ。
精神病者への対応にも、無意味な強制収容、「ロボトミー手術」(前頭葉白質切除術)、旧・優生保護法に基づく不妊手術など、問題がいろいろあった。

1950~60年代の電気ショック療法のように、多くの同性愛者を苦しめた「標準的な治療」もあった。
それもこれも「善意」からの治療だった。

「悪意」があったのは、ナチスドイツや日本陸軍731部隊の「人体実験」くらいだろう。
それでも、現場の人は「善意」だったのかもしれない。

つまり、「善意」だったらといって、何でも許されるものではない。
たとえ「善意」であっても、その「治療」に加害性がないか?常に疑っていかなければいけない。
それが、医療倫理の基本だと思う。

性別移行を望むことを精神疾患と考えて「性同一性障害」という診断名をつけて、最終的な治療法として、断種と外性器の形成手術を推奨する(あるいは法律によって誘導する)従来の方式は、医療倫理、さらには人権(トランスジェンダーの身体の完全性・自己決定の自由・人間の尊厳)という観点で、問題があるからこそ、今回のICDの大改訂で、28年ぶりの大きなパラダイム(認識の枠組み)の変化がなされるのだ。
パラダイムを変えるには変える理由があるということ。

なぜ、そうした論理にちゃんと向き合い、理解しようとしないどころか、感情的に踏みにじろうとするのか、私にはまったく理解できない。

GID原理主義の人たちが、私やトランスジェンダリズム派の人たちを逆恨みして、どれだけ攻撃しようが、5月のWHO総会でICD-11が採択されれば、性別移行の脱精神疾患化は達成され、「gender Identity disorder」という病名は、国際的な疾患リストから永遠に消えることになる。

そのことは、今さらいくら騒ごうが、もう変えることはできない。

日本では、厚労省とGID学会の会長が抵抗して、新しい枠組みへの移行が2年くらいは遅れるかもしれない。
でも、それも時間の問題で、日本がWHOや国連人権委員会の加盟国である限り、いずれは新しい枠組みへ移行せざるを得ない。

そして、これは予言だが、次のICD-12で性別移行の脱病理化が達成されるだろう。
それは10~20年後のことで、私も山蘭さんも、(たぶん)この世にはいない。
だから、若い人たち、後は、よろしくということなのだ。


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