ブログ名:三橋順子先生ブログ
3月27日(月)
「GID学会」でいろいろな方からいろいろな話を聞いていると、つながる(符合する)ことがある。
針間先生の大会長講演で、性別違和の診断の際に考慮することとして「発達障害に加えて、最近は知的障害も」というお話があった。
ところで、日本からタイに行く場合、飛行機の中でタイへの入国カードを書く。
私もバンコクに行く度に書いたが、当然、日本語ではなく英語(アルファベット)で記入する。
で、ある方から、性別適合手術のためタイに行く人で、入国カードに名前を記入する際、自分の名前をローマ字で書けない人がいるという話を聞く。
「なるほどそういうことか」と、つながった。
単なるディスレクシア(識字障害)という可能性もあるが、どうもそんな感じではない。
識字障害だとすると、識字障害と性別違和がそんなに重なるのか?という疑が浮かぶ。
性別適合手術をうける際に、当然、インフォームドコンセントを受けて、手術を受ける意思が確認されるわけだが、それは説明を理解する知的能力(認識力)があることが前提になる。
戸籍変更の場合も同様で、戸籍変更の意思が確認されなければならない。
そうした際の知的能力の線引きって、どうなっているのだろう?
性別適合手術や戸籍変更の意思確認(自己決定能力)という点で、実際、かなり微妙な、危ないケースがあるのだろう。
障害者手帳をもっていれば、それなりの対処がなされるシステムがあるわけだが、そこから漏れてしまった人がいて、あることに対処する必要が生じたときに問題化するということ。
線引きが難しいグレーゾーンを考えておかないと、いけないように思う。
個別の状況を把握して対処するのは精神科医の役目で、針間先生のようなクリニックでは、それが機能していると思う。
ところが、アテンド会社と契約して1日でGID診断書&性別適合手術の意見書がでるようなクリニックを受診し、その夜にはバンコク行きの飛行機に乗っているようなケースでは、チェック機能が働かない。
困ったものだ。
自分の名前をローマ字で書けない人が、性別適合手術のためタイにいく話
自分の名前をローマ字で書けない人が、性別適合手術のためタイにいく話
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