ブログ名:クノタチホのブログ
オトコらしさという仮面を叩き割る目的でやってきた女装サロンに到着したボクは、サロンの店員のおばちゃんのような男性に、
『今日は女装する目的で来ました』
と伝えました。
この時は、左脳で思考した目的の裏側に、アタシの性欲という潜在的な目的がある事をボクはまだ知りませんでした。
それは、ボクというオトコの仮面に裏側に隠されたオンナの顔をみた瞬間に湧きあがる衝動として気づいたわけですが。
人の顔というのはホントに不思議です。
その人の内面の状態をわかりやすく反映します。
ボクは人相学等を詳しく学んだ事は無いですが、自分の顔を、幼少期、思春期、青年期、成人期とずっと辿って見返してみると、まるで別人のように顔が違います。
それは不安定な波の激しい人生を表しているようです。
手相も、人相と同じで、その時のその人の状態を映し出していると言われていますが、たまに手相の知識を調べて、手相を変える事によって、自分の人生の流れを変えるようとする人がいるという話を聞いた事があります。
外見というのが、内面を映し出しているのであれば、
外見を変える事で、内面を変える事ができるというアイデアなんでしょう。
化粧というのは、ボクは手相を書き足す行為に非常に似た効果があるのでは無いかと考えています。
それは人間の内面と外見は、お互いに影響を与えあっているのだという実感をボクは女装する事で実感するからです。
小悪魔という女装サロンは、通常2500円のチャージに加えて、女装のお手伝いをしてもらうのにプラス2000円、メイクに、下着、ウィッグ、服や靴の貸し出し込みで4500円で女装体験ができるという破格のお店なのですが、当時はそこに出張でプロのメイクさんがいらっしゃって、プラス5000円払えば、所謂『整形メイク』というのが体験できるというサービスを実施されてました。
当時は、『ざわちん』という整形メイクのブロガーさんがよくメディアで取り上げられて時期で、その整形メイクというワードにすごいワクワクしたのを覚えています。
10000円弱で別人になれるなんて、現実逃避という目的で女装をしにきたボクからすると夢のようなサービスに感じました。
そして、その別人になる体験をする事を決めました。
メイクの担当の結月さんの事をボクをずっと女性だと思っていたのですが、そのサービスをお願いして、出てきた結月さんが
『よろしくお願いしまーす』と挨拶をされた時の声でそうでは無い事がわかりました。
化粧というのを、後に自分で出来るようになろうという目論見がなかったので、全てをこの結月さんというメイクさんに委ねました。
顔をマジマジと凝視されて
『女装に向いてる顔してるわねぇー』
と言われました。
そして出来上がるまでは、一切鏡を見ないという約束でどんなに仕上がりになるかを楽しみにしながら化粧をしてもらいました。
そしてウィッグを装着して、結月さんに選んで貰った服を着て、鏡を見る許可を貰いました。
恐る、恐る、背を向けていた鏡の方を振り返ると、そこには自分とはかけ離れた、自分がいました。
女装をしたボクは、ボクのハートを射止めました。
鏡の自分に一目惚れしてしまったのです。
他人のようで、自分のようで、とても不思議になりました。
まるでそれは、オトコとオンナが入れ代わるドラマやアニメの主人公になったような気分でした。
それぐらいに鏡の中の自分が別人に感じられました。
ボクは『もう一つの顔』を10000円で手にいれる事に成功しました。
それが『もう一つの人生』の物語を生み出していくわけですが、それはまた【次のお話】
もう一つの『顔』、もう一つの『人生』
もう一つの『顔』、もう一つの『人生』
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