テストステロン療法を始めてから、悠斗の性欲は以前よりも強くなっていた。しかし、それを満たす方法がない。夜、ベッドの中で無意識に自分の股間に手を伸ばすが、そこには何もない。その度に、何とも言えない喪失感が広がる。
「俺は男なのに……どうすればいいんだ?」
自慰の方法を模索したが、かつての感覚とはまるで違っていた。陰核は多少肥大していたものの、以前のような快感は得られず、むしろ違和感が強まるばかりだった。どうにかして満たしたいという欲望と、それを満たせない現実とのギャップに、苛立ちが募っていく。
そんな中、悠斗に恋愛のチャンスが訪れる。大学の同級生である夏希が、以前から彼に興味を持っていたらしい。何度か二人で食事をした後、彼女ははっきりと好意を示してきた。
しかし、悠斗は自信が持てなかった。
「俺は男として彼女を受け入れることができるのか?」
彼女とキスを交わし、体が熱くなるのを感じた。しかし、その先へ進むことを考えると、躊躇してしまう。自分には「男としての証」がない。彼女を満たせるのか、自分は本当に「男としての役割」を果たせるのか——。
迷いと葛藤の中で、悠斗はさらに深い苦悩へと沈んでいった。

第二章:性欲と苦悩