伝統と先進性〜日本の自然美を感じて。
森山未來×着物

《女装メイク師IMAによるレビュー》
舞台がお好きな人はよくご存知の才能溢れる努力派の俳優さんが女性用のお着物をお召しになられました。こちらの俳優さんを深く知らない人にとっては「有名な俳優さんも女装する時代がきた。」と一見、勘違いしそうになるトピックでしたがこの記事は、世界の一流ファッション雑誌（VOGUE）に掲載されていたもので、且つこの俳優さんは若くして深く演技に精通し、ずっと精進し続けている人物なので、単に「女装してみました」「時代が女装やマイノリティ傾向なので合わせました」の意味合い（メッセージ性）はかなり薄いと判断しました。

京都で466年の伝統を持つ千總の友禅の歴史は、実はその時代ごとの枠に囚われない試みを追求し続けた先進性の歴史でもある。

「男性でまずこの綺麗な色、柄の着物は、これから先も着させていただくことはないでしょうね。不思議な気持ちになります」と笑いながら、表現するしなやかな静の所作はどこか研ぎ澄まされた男性の色香さえ漂う。「人は止まっているときのほうが脳が働くと聞いたことがあります。和服ならではの呼吸や身動きの制約を感じながらも、動かないからこそ生まれてくる思考のようなものが表れてきた。女性、中性、和ということさえあまり意識しないバランス。すごく新鮮でしたね」

記事内にある文章に目を通すとその意味が理解できます。今回、森山未來さんが着物を着た背景には、こちらの「着物」をアピールするためで、その宣伝方法として上手く今の時代の流れに沿ったジェンダーを自然に取り入れた。と私は感じました。決して男性に女性用の着物を進める意図はなく、あくまで伝統・日本に重きを置いて現代に沿ったナチュラルな宣伝方法なのではないかとの見解がしっくりきたのです。

あなたは森山未來様の着物姿、どう感じましたか？

JAPANNED×MASAKISUDA
菅田将暉×パール

《女装メイク師IMAによるレビュー》
2021年ブログ記入時の現在にMIKIMOTOがホームページに掲載している写真を載せました。菅田将暉様は2021年11月15日に小松菜奈様とのご結婚を発表され、注目度もかなり向上しています。その最中、こうして大手の宝飾企業様の宣伝に起用されました。菅田将暉様は特に若い世代からの人気が高いイメージがありますので、お母さんやお婆ちゃんのイメージが強い上質な真珠のイメージを一気に若者・流行り・ジェンダーに移行させる狙いがあるのかと感じました。

JAPANNEDとは漆塗りの技法を意味し、
グローバルにも認められている日本文化。
黒という世界観が再現されたジュエリーと
日本を代表する役者 菅田将暉の
深みと奥ゆかしさの融合により、
情熱という美しい感情を捉えています。

女装とは大きく異なるなと感じる部分は、真珠がほぼ黒やグレーが使用されている点。また、チェーンや既存する男性アクセサリーに近い男性らしいアクセサリーであること。が、女装を推しているのではなく、「これまでのイメージを払拭し、男性でも使える男性ライクのデザインにした。」と私は感じました。よく腕に大きな数珠の黒のブレスレット（天然石）をつけておられる男性がいますが、そんなイメージです。特設サイトも見ましたが外国語も多く、日本文化・技法などの文字も見られ《海外への宣伝》の目的も含まれているのかなと考えました。今回のMIKIMOTOと菅田将暉様のコラボレーションはどちらも地名度のある会社と人物なので一見、衝撃が大きかったのですがよくよく見て考えてみると…これまでにもあるようなデザインのアクセサリーに変換し、世界に向けて宣伝をされたと私は受け取りました。※NY店でも販売されていますし、現地のアーティスト様も宣伝に出演されていることも確認できました

今回のコラボレーションが取り上げられている記事には《ジェンダーレス》の言葉が多用されているのですが、本当のジェンダーレスを考えると今まで女性が当たり前のように着用していた無垢な白のパールのアクセサリーをそのまま男性が付けても違和感がない。まで、ファッションなりメイクなり俳優さんなり・・・他の創作でイメージが自然に払拭できるまで持っていくことで、本当のジェンダーレスとなり得ると思いました（が、そこまで日本で到達することって女装紳士のコンセプトを伝えるように本当に難しいのです…。）。

MAC×JIN
赤西仁×化粧

《女装メイク師IMAによるレビュー》
2021年ブログ記入時の現在にMACがホームページに掲載している写真を載せました。こちらも、有名な芸能人なのでインパクトが強く、また化粧品ブランドでも世界的なブランドでありましたので若い女性は特に驚いたと思います。ここから私の見解を書かせてください。あまりアイドル業界に詳しくないので、想像も含めますが間違っていたら申し訳ありません。

赤西仁様のファンは若い女性に多いとイメージします。MACも海外に憧れる女性や濃いメイクが好きな人に人気があり、発色が良くカラフルなブランドイメージがありますので特に若い女性が好む印象があります。よって、こちらは若い女性に向けたサプライズ的な演出宣伝なのかなと感じました。

YouTube動画にも化粧をされながら歌っている赤西仁様の映像がありました。こちらの動画を見た時に私は強く韓国のアイドルのイメージを感じました。いかがでしょうか？日本の男性アイドルは、本来の日本の男性アイドルらしさが徐々になくなってきているように感じる近年、すっかり韓国人のようなアイドルで溢れかえっているイメージがあります。（そこまで詳しくないので慎みます）

アイドル業界もきっと時代の変化で変わっているのでしょう。なので、今回の赤西仁様のメイクはあくまで若い女性に向けた宣伝。なのではと予想しています。このコラボレーションによって女装を推すだとか、ジェンダーフリーを訴えるメッセージはないと判断します。あくまで予想ですが…。ちなみにMACはアイシャドウの発色が美しくてお勧めです。

後々調べてわかったことですが、森山未來様や菅田将暉様の時のように具体的なメッセージの掲載はありませんでした。元ジャニーズの赤西仁様がお持ちの美しい素材をメイクでより引き出して魅せている印象があります。そこに男女やジェンダーもなく、人として《美しい存在》とのメッセージを感じました。それは今まさに公開されている映画の主役ビョルン・アンドレセンのようなイメージでしょうか…。

ファッション、アクセサリー、化粧…

３人の有名芸能人が各企業とコラボレーションして
魅せてくださった今回の2021年の女装関連情報、
いかがでしたでしょうか？

もうこうした広告を目にしても
驚く人は少ない世の中になってきていると思います。

個人的には女装紳士が始動した６年前より
遥かにそうして時代は進んでいる印象ですが、
そう感じるのはテレビ越しの世界が多いなと思います。

現実には街中で女装している人が増えたわけではなく、
未だに私が「女装メイク師」と
自己紹介すると怪訝な顔をされることもあります。

ただ化粧をする男性は若者を中心に
増えている気はしますが特にその中でも
韓国アイドルの影響は大きいのかなーと・・・。

本当の意味でのジェンダーレス、相互理解、
少数派への理解って戦争を世界から無くすほどに
難しいものではないのかなとつくづく考えさせられます。

もっと私自身も世界に目を向け、
女装に関する情報やメイク技術を
これまで以上に高めたいと思っています。

少しでも女装メイク師の視点で
あらゆる情報を楽しみ、考察いただけたら幸いです。

最後までご覧くださりありがとうございました。

女装紳士IMA