イスラム国家、パキスタンで初めてのトランスジェンダーのための学校が2018年4月に開校した。パキスタン北部ラホールの「ジェンダー・ガーディアン」スクールは初等教育から高等教育までを行う。教育を通して、トランスジェンダーの社会的地位の向上を図ると共に、一般市民に性差別緩和を促す狙いだ。(クローディアー真理)
開校と同時に入学したのは、職業訓練コースの学生約40人だ。創設前にトランスジェンダーの人々に、どんなことに興味があり、学びたいかを調査。それを土台に、8分野にわたるコースが設定された。服飾デザイン、調理、グラフィック・デザインなどがある。
青年向きには、専門教育に加え、大学入学試験準備のためのクラスも設けられている。より良い仕事に就くために役立つ、英語でのコミュニケーション力や、安全な生活を送るために不可欠な、権利について学ぶこともできる。自身もトランスジェンダーという3人を含め、 1人の教職員が学校を支える。学生のほとんどが家族と絶縁しているため、メンターと寝食を共にし、勉学に励む。卒業後は、コース修了時に与えられる資格を用い、起業するか、就職するかを選ぶ。学校側は、起業家の道へ進む卒業生が多いことを予想する。
「トランスジェンダーに偏見や危険にさらされずに学ぶ場を提供し、自立の道に導きたい」と語るのは、アシフ・シェザードさんだ。同校の創設者であり、国内NGO団体、エクスプローリング・フューチャー・ファウンデーション(EFF)の理事長を務める。
第三の性に法的権利パキスタンには、「第三の性」を持つトランスジェンダーは神秘的な力を持つとされ、宗教儀礼などにかかわってきた伝統がある。「第三の性」は世界でも比較的早く、2009年に一般人同様の法的権利が徐々に与えられてきた。最近では、ニュースキャスターとして活躍する人も出ている。
しかし、実社会での偏見は依然として強い。家族にも拒否され、教育を受けられず、堅実な仕事に就けない。売春や物乞いをせざるを得ず、HIV罹患率は一般人の49倍だ。2015-2016年には50人以上のトランスジェンダーが殺害されている。
シェザードさんは「トランスジェンダーでも、教育を受け、経済的に自立し、幸せな生活が送れることを本人たちに示したい。と同時に、一般市民に差別意識を捨ててほしい」と願っている。運動家によれば、トランスジェンダー人口はラホールだけで3万人という。全国規模ではそれ以上ということになる。近々、EFFは首都イスラマバードやカラチにも同様の学校を開校する。
イスラム教の国なのに!こういうことよ、世界はどんどんフラット化へ進んでる!
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