ベルリン国際映画祭が演技賞の性別区分を廃止:ジェンダー中立化がもたらす新たな課題と …
2021年2月に開催予定のベルリン国際映画祭(通称ベルリナーレ)が、コンペティション部門で授与する賞を再編成すると発表した。演技賞では、性別による分類を取りやめ、これまでの最優秀男優賞、最優秀女優賞の代わりに、「最優秀演技賞」と「最優秀助演賞」が性別に関係なく授与されるという。
女性やマイノリティに対する格差是正の施策としてポジティブに見えるアクションだが、一方でこのような変更は、女性の権利保護の観点から懸念を示されることもある。
その懸念とは何だろうか?また、ベルリン国際映画祭は、どのようにそれを乗り越えているのだろうか?主要な国際映画祭において初
ベルリン国際映画祭が発表した声明によると、2021年の映画祭から(最優秀賞である)銀熊賞はジェンダーニュートラルとなり、主演男優賞と主演女優賞の代わりに、最優秀主演賞と最優秀助演賞が性別に関係なく授与されるようになる。
映画祭ディレクターのマリエッテ・リッセンベークとカルロ・シャトリアンは、「演技分野の賞を性別で分けないことは、映画業界がよりジェンダーに敏感になるためのシグナルになると信じている」とコメントしている。
銀熊賞の一部門である男優賞・女優賞は、監督賞と並んで1956年に導入された歴史ある賞である。日本人では山田洋次監督の『小さいおうち』に出演した黒木華、2010年に若松孝二監督の『キャタピラー』に主演した寺島しのぶらが受賞している。
アカデミー賞をはじめ、映画の演技賞の多くは「主演男優賞」「主演女優賞」「助演男優賞」「助演女優賞」などにカテゴリーが分けられている。ベルリンと並んで、世界三大映画祭として知られるカンヌやヴェネツィアを含む多くの国際映画祭では、男女別の演技賞の枠組みが維持されている。主要な国際映画祭においては今回初めて、性別に基づいて演技賞を授与する方法が変更された。演技とジェンダーカテゴリーは無関係
MTVアワード2017において、最優秀俳優賞を受賞したエマ・ワトソンは受賞スピーチで「ジェンダーニュートラルアワードは、演技とは自分を他人の立場に置く能力に関するものであり、男女という2つの異なるカテゴリーに分ける必要がないことを示している」と称賛した。彼女が述べるとおり、演技が創造性を問うものである以上、演技のスキルセットは性別によって異なるものではない。その意味で、役者としてのスキルが共通のものさしで測られるようになったということを指して、男女の平等化が進んだと判断することは必ずしも間違っていないだろう。
また、特に近年「女性が男性の役を演じたら(またはその逆は)どうなるのか?」「トランスジェンダーやXジェンダーの俳優はどちらの賞の対象になるのか?」という議論が聞かれるようになっている。
このトピックは、今年の6月にエイジア・ケイト・ディロンというノンバイナリーの俳優が、SAG(全米俳優組合)アワードへ演技賞での男女による二分法廃止の提案をしたことでも話題になった。
性別が二分法で分けられるものではないにもかかわらず、演技のカテゴリーを男女で分けることは性的少数者にとって排他的で差別的であるという声が上がる中、そのような配慮も含めて妥当な対応と見ることもできる。
一歩ずつ、一歩ずつ。
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