8歳の子いたら性別変更ダメ? 「違憲」近く申し立てへ
8歳の娘がいる兵庫県の契約社員(52)が近く、戸籍上の性別を女性に変更するよう求める審判を神戸家裁尼崎支部に申し立てる。「未成年の子がいない」ことを性別変更の要件とする性同一性障害特例法は「幸福追求権を保障する憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に反する」と主張し、違憲性を問う。
代理人の仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)によると、男性として生まれた申立人は、幼い頃から体の性に違和感があり、高校から女性の姿で通学。約30年前にホルモン治療を受け始めた。親の勧めで女性と結婚し、娘を授かったが、その後に離婚。今年に入って性別適合手術を受けた。
2004年施行の特例法には、親子関係などの家族秩序を混乱させたり、子の福祉に影響を及ぼしたりしないよう性別変更の要件に「子がいないこと」が盛り込まれた。だが緩和を求める声が上がり、08年に「未成年の子」に絞られた。
申立人は、職場で上司から女子トイレを使わないよう指示されるなど暮らしが制約されているとし、「子が成人するまで耐えなければならないのはおかしい」と主張。仲岡弁護士も「性別変更は実態に戸籍を合わせる手続き。突然、父が母になるわけではなく、子の福祉に照らしても問題はない」と話す。
この要件をめぐっては、東京高裁が05年5月、「著しく不合理であることが明白とはいえない」と判断した。ただ、日本学術会議法学委員会は17年9月、世界でも異例な要件だとして、「子にとって、親の性別変更は外見と法的状態を合致させることで、混乱を招くものではない。見直す時期にきている」と指摘した。
三成美保・奈良女子大教授(ジェンダー法学)は「海外では、性別の自己決定権が尊重される傾向にある。家族観が多様化する中、裁判所がどう判断するか注目している」と話す。(大貫聡子)
戸籍上の性別変更
性同一性障害特例法に基づき、①20歳以上②結婚していない③未成年の子がいない④生殖機能を欠く⑤なりたい性別の性器に近い外観を備えている――の5要件すべてを満たさないと、戸籍上の性別を変更できない。このうち④の違憲性が争われた家事審判で、最高裁は1月、「現時点では合憲」としつつ、社会の変化に応じて判断は変わりうるとして「不断の検討を要する」とした。裁判官2人は「違憲の疑いが生じていることは否定できない」とする補足意見を述べた。
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