性同一性障害の実子のドキュメンタリー映画作品の広報を担当する 小林 美由起さん 中原区出身 58歳
○…我が子が主演を務めるドキュメンタリー映画「空と、木の実と。」の上映会を都内、大阪、仙台など全国各地で行う。同作では、女性の身体、男性の心を持つ性同一性障害(GID)と診断され、国内最年少で性別適合手術を受けた小林空雅(たかまさ)さんの9年を追う。幸区河原町に長年住んでいた小林さん家族。作中には、空雅さんが通っていた市立御幸中学校や、県立川崎高校が登場する。「性別だけでなく、年齢や立場によって自分らしく振舞えないこともある。自分らしさとは何かを考えるきっかけになれば」
○…上映会の会場は、地域のカフェや寺、大学といった教育機関まで様々。行政関係者、学校職員、学生、地域の人など参加者も幅広い。ジェンダーに関して全く知識がない人が上映会に来て「男、女どちらでもない性別という概念があることを初めて知った」と話してくれたこともある。「無理に受け入れてほしいという話ではなく、作品を通じて『こういう人もいるんだ』と知ってもらえたら」と笑顔で話す。
○…本業は心理セラピスト。幼少期から家庭環境に苦労してきており、「自分の経験を何か生かせないか」と2014年頃から発達障害やGIDの子を持つ親の相談に乗っていた。学んでいた心理学をさらに深め、16年から本格的にセラピストとして働くことを決意。現在は在住する茅ヶ崎市や県内、都内で活動する。
○…「男女」の2文字で区別しきれない、その人らしさや個性があるといい、「全ての人が自分らしく生き生きと元気に過ごせる社会にしたい」と話す。そのために、日本全国スーツケース片手にどこへでも赴き、講演を行うのが夢。「『男女平等』ではなく、いつか『人間平等』という言葉がポピュラーになる時代が来てほしい」と目を輝かせる。
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