ブログ名:女性化ガイド
MTFのコミュニティでよく聞かれるワードに「パス」があります。パス(パッシング)とは、自分が希望する性別として通用するかどうかのことです。MTFの場合、女性としてみられるか、女性として扱ってもらえるかということです。反対に、元の性別がわかってしまったり、元の性別として扱われたりすることをリードといいます。パスというとどうしても見た目の部分が大きかったりしますが、社会的にどれほど女性として認知されているかという点も大切です。
多くのMTFさんが気にしているのは、やはり見た目のパス度、つまりどのくらい女性らしく見えるかということではないでしょうか。私もどれくらい女性に見えるかとっても気にしています。見た目のパス度は、身長や体つきがどれくらい女性に近いかという、もともとの素質も結構大切です。身長や肩幅といった骨格を変えるのはほぼ不可能ですが、女性ホルモンや整形などである程度、見た目を女性に近づけることはできます。
見た目のパス度が高い人は、初めて会った人に女性として接してもらるのはもちろん、継続的な人間関係のなかでも自分以外の人に元男性だったということが知られていないということもあるかもしれません。本人が元男性だとカミングアウトすると、周囲の人が驚くというレベルの人はかなり見た目のパス度が高いです。
MTFの中には、もともと素質に恵まれ、また本人の努力の結果、男時代を知る人は自分と家族くらいという状況の中で、女性として生活している人もいます。その人たちは、女性として職を得ていたり、結婚していたりする場合もあります。こういう状態のことを埋没っていいます。
埋没している人の特徴は、やはり生まれつきの体が女性に近いということです。女性ホルモン前でも、中性的な格好をしていると女性に間違われる人もいます。身長が低くて、骨格もごつくなく、顔も女性顔の人は素質がいいといえます。こういう人は、女性ホルモンや整形をすると、完全に女性にしか見えないレベルまでいくでしょう。
素質が良くないと、完パス・埋没は難しいかもしれませんが、社会的に女性として生活することはできます。これがもう一つのパスである社会的なパスです。例えば、周囲の人に元男性とは知られていながらも、カミングアウトした上で理解をえたり、戸籍上の性別変更したりして、女性として生活している状態です。
また、ホルモン療法や整形などである程度女性的な見た目になると、初めて出会った人に女性と思われたりすることもあります。最初はわからないけど、何回か接しているうちにバレる感じです。仮に元男性であることがわかってしまったとしても、体の見た目がある程度女性的で、服装やしぐさ、話し方などが女性であれば、女性として扱ってもらえます。いわゆる配慮パスってやつです。中には心無い人もいて差別的な言動をしてくる場合もありますが、ほとんどの場面で大丈夫です。
よくパスできないっていっている人がいますが、そういう人はどのレベルでパスできていないのでしょうか? 完全に女性にしか見えず、元男性だといっても信じてもらえないレベルを想定していませんか。このレベルまで達する人はほんの一握りです。もちろん体を女性に近づける努力は大切ですが、高すぎる目標を設定すると自分が疲れちゃいます。もともと男性として生まれてきてしまったのですから、運命として受け入れて、ある程度女性として通用すればいいと割り切ることも大切だとおもいます。
多くのMTFは平均的な男性の体をもって生まれてきていると思うので、まずは完全に女性にしか見えないレベルの埋没を目指すよりも、ぱっと見でも女性に見えるように、そして社会的に女性として生活できるように努力したほうがいいのではないでしょうか。
よく完全に女性に見えない人は、性別移行をせず元の性別のままで生活した方がいいという人がいますが、私はそうは思いません。性同一性障害(性別違和)は、心が女性なのに体が男性だから悩む“疾病”であり、体が女性的であるかどうかは本質的なことではないからです。もちろん体の素質がいい人よりは努力が必要ですが、男性のまま生活するのが本当に苦痛であれば、性別を変えるのも一つの方法でしょう。
LGBTへの理解も深まりつつあり、時代はだんだんと変わっていっています。完全に女性に見えなくても、努力次第では女性として生活することはできます。不思議なことに、社会的に女性としてみられることが増え、女性としての生活が長くなると見た目のパス度もあがってくるものです。女性らしさは生まれつきではなく、身につけるものです!!
ここまで、見た目は関係ないようなことを書いてきました。しかし、誤解がないようにいっておきますが、見た目はかなり重要です!! もともとの素質がいいに越したことはありません。素質が良くないと女性として見られるようにかなりの努力がひつようです。私もあまり素質がよくないのでかなり苦労しています。それでも、もともとの体が男性的で素質がないからといって、女性としての生活を諦めないでほしいです。素質は良くなくても、現在は女性として頑張っているMTFさんはたくさんいます!
一度しかないの人生です。男性のまま生きるか、女性として生きるか、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと考えて、満足できる生活ができるといいですね。
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