女子部屋の夜は、まだまだ終わらない。
テレビを見ながら詩織の「私につけてほしい」発言で微妙な空気になったものの、結局、女子たちは笑いながら話題を続けていた。
「ねぇ、もしさ、もしだよ?」
詩織が身を乗り出しながら言った。
「もし、明日の朝起きたら、私たちにアレが生えてたとしたら、何する?」
「えっ?」
奈々が飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
「なにそれ、唐突すぎ!」
「だってさ、さっきみんな『いらない』って言ったけど、実際に生えたらちょっと試してみたくならない?」
「うーん……」
美咲は腕を組んで考えるふりをしながら、ニヤリと笑った。
「……やっぱり、立ちション?」
「おおお! やっぱりやるよね!」
詩織が大きく頷く。
「だってさ、ずっと気になってたんだよね! 男子ってトイレでめっちゃ早いし、いちいち座らなくていいじゃん?」
「それそれ! キャンプとかでめっちゃ楽そうだよね!」
千尋も興奮気味に同意する。
「でしょ!? もう、最初に試すべきは立ちションだよ!」
「てか、最初は絶対に家のトイレで練習するよね?」
「うんうん、いきなり公衆トイレはちょっと怖い!」
奈々も笑いながら加わる。
「……でさ、その次は?」
詩織がワクワクした顔で続けた。
「え、次?」
「次にやりたいこと!」
美咲は少し考え込んだあと、ぽつりと呟いた。
「……朝起きたとき、どうなるか確かめる」
その一言に、部屋は一瞬の沈黙のあと——
「ぎゃはははは!!!」
全員が大爆笑した。
「確かに!!」
「男子ってさ、朝なんかすごいことになるって聞くじゃん?」
「うん、あれどういう感じなんだろうね?」
「そもそも、なんでそうなるの?」
「なんか、そういう仕組みらしいよ」
「へぇ~……いやぁ、ちょっと体験してみたいかも」
千尋が遠い目をして呟く。
「で、あとは?」
詩織はまだまだ話を続ける気満々だ。
「……男子ってさ、座るときどうしてるの?」
「え?」
「だって、ほら……邪魔じゃない?」
「あー……確かに」
「ちゃんと収まるのかな?」
「座り方とか、走り方とか、全部変わるんじゃない?」
「うわー、それめっちゃ気になる!」
「ねぇ、男子になったら、どうやって歩けばいいの?」
「なんか、男っぽい歩き方とかあるのかな?」
「やっぱり、ガニ股気味に歩いたりするんじゃない?」
「えー、それはイヤかも!」
「あはは、でも、せっかくなら試したいよね!」
「うん、試したい!」
詩織たちは大盛り上がりしながら、次々と妄想を膨らませていった。
「……で、もし明日、本当に生えてたらどうする?」
詩織が最後に問いかけると、奈々がケラケラ笑いながらこう答えた。
「うーん……とりあえず、記念写真撮る!」
その言葉に、再び部屋中が笑いに包まれた。
女子たちは、夜更かししながら「もし男子になれたら」の妄想を続けた。
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もし生えてきたら?