悠斗はグラスを揺らしながら、目の前の女性を見つめた。
彼女の名前は詩織。20代後半のキャリアウーマンで、落ち着いた雰囲気を持ちながらも、どこか挑発的な視線を投げかけてくる。長身で、黒のパンツスーツを見事に着こなしていた。
「仕事の話はもういいでしょう?」
詩織がグラスを口に運びながら、いたずらっぽく微笑む。
「悠斗くん、こういうところにはよく来るの?」
「まあ、たまに……気分転換にね」
嘘だった。悠斗は以前ほど気軽にバーに来ることはなくなっていた。だが、詩織の前では強がりたかった。
「ふぅん……いいわね、大人の男って感じで」
彼女は少し酔いが回ってきたのか、肩の力が抜け、リラックスした様子だった。
悠斗の視線は、自然と詩織のパンツスーツのラインに落ちる。座った姿勢でもわかる、女性らしいヒップラインと、脚のラインが強調されたシルエット。ほんの少し太ももを組み替えるたびに、布がわずかに引き締まり、形を際立たせる。
——興奮する。
悠斗は唾を飲み込んだ。男としての本能が反応しているのは間違いない。
だが、すぐに頭を冷やそうと、ウイスキーを口に運んだ。
「悠斗くん、なんか顔赤くなってない?」
詩織がニヤリと笑う。
「いや、そんなことないさ」
「ふぅん……」
詩織は手を伸ばし、悠斗のネクタイを指で軽くなぞった。その仕草に、悠斗の心臓が跳ねる。
「ねえ、ちょっと付き合ってよ。もう少し飲みたいけど、ここじゃ落ち着かないわ」
彼女の唇がゆっくりと歪み、意味ありげな笑みを浮かべた。
悠斗は一瞬、言葉を詰まらせた。
これは誘われているのか?
「どこか……静かな場所に行く?」
悠斗がそう尋ねると、詩織は何も言わずに、微笑んだままバッグを持ち上げた。
「もちろん。……行きましょうか?」
詩織は立ち上がり、艶やかな髪を指でかき上げた。
悠斗はグラスの中に残ったウイスキーを一気に飲み干し、彼女の後を追った。
ホテルへ向かう夜の街が、ふたりを包み込んでいった。
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バーでの詩織の誘惑