洋式トイレで座りションを終えた悠斗は、立ち上がれずにいた。
本来なら、おしっこを終えた男は、陰茎を振ってパンツの中にしまえば万事終了だ。
しかし、悠斗はもう一仕事残っていた。
男みたいに振って済ませたいが、陰茎自体が悠斗には存在しない。
このままパンツを履いてしまうと、大惨事になってしまう。
悠斗の割れ目やらお尻まで、びしょびしょになってしまっている。
悔しいが、女子みたいにトイレットペーパーで拭かないといけない。
これは悠斗にとって、辛すぎる仕事だった。
男性器が付いていた空間を通り過ぎて、割れ目を拭かなければいけない。
割れ目に触れるごとに、悠斗の平らな股間が手に取るようにわかる。
悠斗がトイレットペーパーを股間に押し当てるたびに、「無い」「無い」と、男性器が失くなった自らの股間に違和感を感じる。
3回ほど丁寧に拭き取った後に、悠斗はパンツを上げた。
パンツは女子用で、履いた後も女子と同じシルエットだった。
前に膨らみがなく、平らな股間が布にぴったりとフィットする。
男としての名残は何一つない。
「……これが、俺の現実か。」
誰にも聞かれないように、小さく呟く。
トイレの個室を出ると、男たちは何もなかったかのように洗面台の前で手を洗っていた。
悠斗は、その光景を目の端で捉えながら、自分が今どんな立場にいるのかを改めて思い知らされた。
女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
悠斗のもう一仕事
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