悠斗は、女性との関係がうまくいかず、傷を癒やすために一人旅に出た。
しかし、男湯に足を踏み入れた瞬間、悠斗の心はざわついた。
賑わいのある温泉街。観光客でごった返し、浴衣姿の男性たちが楽しそうに歩いている。そんな光景を横目に、悠斗は旅館の大浴場へと足を運んだ。
脱衣所には多くの男たちがいて、皆気兼ねなく服を脱ぎ、堂々と裸で歩いている。その自然な姿に圧倒されそうになりながらも、悠斗は自分の身体を隠すようにタオルをしっかりと巻いた。
浴室の扉を開けると、湯気がもうもうと立ち込め、活気のある話し声が響いている。何気なく視線を泳がせた瞬間、彼は久しぶりに目の当たりにした。
男たちの陰茎。
同じ陰茎は二つとなく、長いもの、短いもの、太いもの、細いもの、包茎のもの、裸茎のもの——それぞれに個性があった。
だが、どれも立派に機能し、当たり前のように存在している。
(こんなに……でかかったっけ?)
(こんなに……でかかったっけ?)
目の前には、何の違和感もなく裸で歩き回る男たち。彼らは当然のように股間にそれをぶら下げていた。悠斗はしばらく男性器を直視する機会がなかったため、その存在感に圧倒された。
(俺のは……13cmで完全裸茎。亀頭のカリがでかく、どこに出しても恥ずかしくない一物だったのに……。)
かつては他人よりも優越感すら抱いていた。しかし、今は違う。
(今の俺のチン長は……0cm。いや、それどころか……女みたいな割れ目になってる。)
股間をぎゅっと隠すようにタオルを握りしめる。
それなのに、気づけば周囲の男たちの股間に目がいってしまう。
(こいつらは……あのちんちんで射精して、立ちションをして……普通に男として生きてるんだ……。)
羨ましさがこみ上げる。
悠斗は視線を動かさないように意識した。しかし、どうしてもチラチラと見てしまう。
(……俺は、あれを失ったんだ。)
自分だけが違う。
そんな現実が、温泉の湯気とともに悠斗の心に重くのしかかっていた。
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温泉での葛藤