部屋の片隅に置かれたウイスキーのボトルが、すでに半分以上空になっていた。
悠斗はベッドの上で仰向けになり、天井をぼんやりと見つめる。
股間に手を伸ばし、無意識にそこを握ろうとする。
——だが、何もない。
あるはずのものがない。
それなのに、脳がまだそこにペニスがあると錯覚している。
(ここに、あったはずなのに……)
男としての欲望は、確かに存在している。
だが、それを発散する手段がない。
「……くそっ。」
悠斗は顔を覆い、苦しげに息を吐いた。
自慰をしようとしても、かつての感覚が戻らない。人工クリトリスを刺激してみても、まるで“女の真似事”をしているようにしか感じられない。
「こんなの……俺じゃない……。」
だが、現実は変わらない。
男性ホルモンが増えたことで、性欲はかつてよりも強くなっているのに、それを満たす手段は何もない。
(もう、いっそ、何も感じなければいいのに……。)
理不尽な苛立ちを抱えたまま、悠斗は無造作にグラスを手に取り、ウイスキーを喉に流し込んだ。
熱い液体が食道を焼くように通り過ぎていく。
酒量は増えていた。
こうして酔ってしまえば、少しは楽になれる。
(こんな身体で……どうやって生きていけばいいんだよ……。)
静寂の中、時計の針だけが一定のリズムで時を刻んでいた。
外は雨。
だが、悠斗の心には、それよりも冷たい虚無感が広がっていた。
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女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
ファントムペ○スに苦しむ夜
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