バーのカウンターでグラスを傾けながら、悠斗は目の前に座る美女を眺めていた。
長い髪、形の整った唇、魅惑的な瞳。
彼女は微笑みながら、グラスの縁をなぞっている。
「ねぇ、悠斗くんって、優しそうだよね。」
「……そう?」
悠斗は苦笑した。彼女の言葉はただの社交辞令かもしれないが、こうして女性と親しく話せる時間が嬉しくないわけではなかった。
だが、その一方で、どうしようもない現実が頭をよぎる。
(もし、俺に“アレ”があったら……。)
彼女をこのままホテルに誘うこともできたかもしれない。
しかし、悠斗にはその先がない。
何もできない。
彼女を抱くことも、満たすことも。
胸の奥が締め付けられる。
「悠斗くん、聞いてる?」
「……ああ、ごめん。ちょっと考え事してた。」
彼女はクスッと笑った。
「もしかして、私のこと考えてた?」
冗談めいた言葉に、悠斗は言葉を返せなかった。
彼はただ、グラスの中の氷が溶けるのをじっと見つめるだけだった。
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女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
交わることのできない現実
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