シャワーを浴び終えた葵は、バスローブを羽織って部屋に戻ってきた。
ベッドの上でぼんやりと天井を見上げている悠斗を見て、彼女は一瞬言葉を探した。
「ねぇ、悠斗。」
「……ん?」
「昨日のこと、気にしてる?」
悠斗は一瞬、答えに詰まったが、苦笑しながら肩をすくめた。
「気にしてないって言ったら嘘になるな。」
「だよね。」
葵は静かにため息をついた。
「……ごめんね、正直言うと、昨日はすごくドキドキしてたんだけど……」
「だけど?」
「なんか、悠斗が '違う' って気づいたら……気持ちのスイッチが変わっちゃった。」
悠斗の心が鈍く痛んだ。
「違う……か。」
「うん。でもね、だからって悠斗のことが嫌いになったわけじゃないよ?」
葵は悠斗の隣に腰掛け、軽く肩を叩いた。
「私ね、悠斗のことは好き。でも、たぶん '男として' じゃないんだと思う。」
悠斗はその言葉を聞いて、頭の中がぐちゃぐちゃになった。
「それって……結局、俺は '女' ってことか?」
「違う違う!」
葵は慌てて手を振った。
「悠斗は悠斗。でも、私が求めてる '男' の部分とは、ちょっと違う……って感じ?」
その言葉は、悠斗にとってある意味では最も残酷だった。
男として完全に否定されたわけではないが、男として求められていないという事実だけは、はっきりと突きつけられた。
「そっか……。」
悠斗は、それ以上言葉を発することができなかった。
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女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
葵の言葉
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