悠斗は、公衆トイレの前で立ち止まった。
男性用の小便器に並ぶ男たちの姿を横目で見ながら、彼は深く息を吐く。男として生きると決めたのに、悠斗にはあの列に加わることができない。
「なんで俺は……」
個室のドアを押し開け、鍵をかける。
便座に腰を下ろす瞬間、屈辱が胸を突いた。
「男なのに……」
かつて当たり前に立ってできた行為が、今は不可能になっている。この違和感に、まだ慣れることができない。
特に和式トイレでは、違和感がより鮮明だった。
狭い空間でしゃがみ込むたび、かつての自分の姿と比較してしまう。足元に広がる和式の便器を見下ろしながら、悠斗は唇を噛んだ。
「俺は、こんなはずじゃなかった……」
立ち上がり、水を流し、個室のドアを開ける。
ふと、小便器の前に立つ男たちを再び目にした。
何気なくジッパーを下ろし、手を伸ばす彼らの仕草。それが、まるで別の世界の出来事のように感じられる。
悠斗は歯を食いしばった。
彼は男に戻ったはずなのに、現実は容赦なく、彼の身体の違いを突きつけてくるのだった。
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女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
和式トイレでの葛藤
和式トイレでの葛藤