詩織はベッドの上で悠斗の横に寝転びながら、じっと彼の顔を見つめていた。
「ねぇ、悠斗くん」
「ん?」
「実際のところ……どうなの?」
「どうって?」
「ほら、さっきから気になってたんだけど……私と同じように、ちょっとしたことで不便に感じることってあるのかなって」
詩織は興味津々といった様子で悠斗を見つめる。
悠斗は少し戸惑いながらも、彼女の好奇心に応えようとした。
「まぁ……そうだな。トイレとかは正直、面倒だよ。外にいるとき、みんながサッと済ませてる横で、俺は個室が空くのを待たないといけないし」
「そっか……」
詩織は何かを考えるように口元に指を当てた。
「そういえば、私は小さい頃から『座ってしなさい』って言われ続けてたけど、悠斗くんもそうなの?」
「いや、さすがに昔は違ったよ。でも……今は結局、座るしかない」
悠斗は苦笑する。
「うーん、不便そう……」
詩織は少し考え込んだあと、いたずらっぽく微笑んだ。
「でも、逆にいいこともあるんじゃない?」
「いいこと?」
「うん。例えば……痛い思いをしないとか?」
「痛い思い?」
「ほら、男の人ってよく股をぶつけて悶絶してるじゃない? あれはないでしょ?」
「あぁ……確かに、それはないかもな」
「でしょ? あと、ムダに膨らんで恥ずかしい思いをすることもないし」
「……詩織、なんか楽しんでないか?」
「ふふっ、ごめんごめん。だって、ちょっと不思議なんだもん」
詩織はニコニコしながら、悠斗の髪をくしゃっと撫でた。
「でもね、悠斗くんがどんなふうに感じてるのか、ちょっと知りたかったの」
「なんで?」
「んー……ただの興味、かな?」
詩織は微笑みながら、悠斗の頬を指でつついた。
「まぁ、私がどれだけ考えたって、悠斗くんの気持ちを完全に理解することはできないけどね。でも、少しは分かった気がするよ」
悠斗は彼女の言葉に、どこか救われるような気がした。
——彼女はただの好奇心で聞いているだけかもしれない。
でも、それでもいい。
誰かに話を聞いてもらえるだけで、少しだけ気持ちが軽くなるのだから。
詩織の好奇心