悠斗はテストステロン療法を始めた。医師の勧めに従い、慎重に投与量を調整しながら進めることになった。最初の数週間は変化がほとんどなかったが、次第に身体に微妙な違いが現れ始めた。
腕の筋肉がわずかに張り、腹部の脂肪が減ってきたのを感じた。鏡を覗き込むと、以前よりも骨格がしっかりしてきたように見える。それは小さな変化だったが、悠斗にとっては確かな進歩だった。
しかし、変化を喜ぶ反面、彼の心には深い違和感が残っていた。
「これで俺は本当に男になれるのか……?」
性欲が高まり、夜になると無意識に自分の下半身に手を伸ばす。しかし、そこには何もない。その事実を改めて認識するたびに、強烈な虚無感が襲ってきた。
ホルモンの影響で声が少しずつ低くなり、体毛も濃くなってきた。それは望んでいた変化だった。しかし、どうしても埋められない穴があることを、悠斗は痛感していた。
「俺には、足りないものがある。」
ペニスがない。それは悠斗にとって、ただの身体の欠損ではなく、「男としての自分」を確立するための大きな壁だった。
彼は医師に相談し、陰茎再建手術の可能性について聞いた。しかし、費用や手術のリスクを考えると、簡単に決断できるものではなかった。
「このまま生きていくしかないのか……?」
それでも、悠斗は諦めるつもりはなかった。
新たな道を探しながら、彼は自分自身の「男としての生き方」を模索し続けていた。
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女装拡散ゾウさん
掲載媒体:性転換大失敗!元ナシナシニューハーフが男に戻る!
第一章:身体の変化と葛藤
第一章:身体の変化と葛藤